概要
本ME溶接継手工法は、近年顕著に見られるようになったコンクリート構造物の大型化・高強度化に対応した鉄筋継手(エンクローズ溶接継手)です。本エ法は、財団法人日本建築センターの「鉄筋の溶接継手性能判定基準」におけるA級継手の評定を取得し(BCJ評定-RC0215-01)、鉄筋継手の品質性能と施工効率をより高めることに成功した継手工法です。本工法は、被接合異形鉄筋相互の接合部を、炭酸ガスにてシールドするための炭酸ガス噴出口を有する特殊な銅当て金(治具)にて覆い、半自動炭酸ガスアーク溶接用の溶接装置を用いエンクローズ溶接にて継手を製作します。
特徴
本工法は、治具※1に鉄筋を支持できる機能※2をもたせることにより、狭隘な場所での施工と作業の簡易化を実現しました。
また、本工法の主体となる炭酸ガス半自動溶接では、溶接部と大気との遮断が重要視されてますが、本工法の治具は、炭酸ガスの噴出口を溶接部の他にエアカーテンとなる鉄筋軸方向への噴出口を設けることにより、シールド性を飛躍的に高めに可能となりました。これまで鉄筋溶接継手の問題点であった風による欠陥の発生を抑えることができます。
(※1:特許申請中 ※2:鉄筋重量により制限される)
適用範囲
本工法は、財団法人日本建築センターが認定する「鉄筋継手性能判定基準」に示された「A級継手」として使用できます。また、継手の位置・集中度は、「建築物の構造関係技術基準解説書(日本建築センター刊)」によります。本工法の適用範囲は原則として日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説JAAS5(鉄筋コンクリート工事)」及び日本建築学会「鉄筋コンクリート造」
適用鉄筋 | JIS G 3112-1987「鉄筋コンクリート用棒鋼」の規格にて製造された鉄筋 | ||
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鉄筋の種類、呼び名 使用溶接材料 |
SD345 | D19~D51 | 590N級高張力鋼用ワイヤ |
SD390 | D19~D51 | 690N級高張力鋼用ワイヤ | |
SD490 | D25~D41 | 780N級高張力鋼用ワイヤ | |
異径間継手 | 各鋼種(鉄筋の各各種)とも呼び名1径差間まで可 |
治具寸法
本工法に使用する治具は、下図・下表の通りです。
鉄筋呼び名 | 型式 | 長さL(mm) | 幅W(mm) | 高さH(mm) |
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D19 | ME19 | 150 | 65 | 100 |
D22 | ME22 | 150 | 65 | 105 |
D25 | ME25 | 150 | 65 | 105 |
D29 | ME29 | 150 | 65 | 105 |
D32 | ME32 | 155 | 65 | 105 |
D35 | ME32 | 155 | 75 | 105 |
D38 | ME38 | 155 | 75 | 115 |
D41 | ME41 | 155 | 75 | 115 |
D51 | ME41 | 155 | 90 | 135 |
鉄筋工事の現場施工の簡略化
柱筋や梁筋主筋の同一断面の継手(イモ継)が可能なので、先組などにより、鉄筋工事の簡略化ができ、工期短縮につながります。また、ガス圧接工法にみられる加圧による鉄筋の移動がないため、配力筋や帯筋施工後の継手や、多段床版の継手に適しています。
作業可能範囲
下の状況での作業が可能です。
鉄筋呼称 | 最小間隔 | 鉄筋呼名 | 最小間隔 |
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D19 | 69 | D35 | 85 |
D22 | 72 | D38 | 88 |
D25 | 75 | D41 | 90 |
D32 | 82 |
本寸法は、最低限の数値を表しています。実際の施工時には必ず打合せをして下さい。
作業風景